コンピュータグラフィックスに使用される数式を遺伝子に見立て、 遺伝的アルゴリズムによって多様なパターンを作り出すことによって、 映像に生命の多様性をインストールする表現を試みる
SICF21 望月かおる賞
SXSW Art Program Finalist
SIGGRAPH Asia Art Gallery
複数の物体を素早く入れ替えることで1つの生命であるように錯視を見せる zoetrope のように、 私たちは時間をかけて入れ替えられる存在かもしれない
SICF21 Winners Exhibition 新作展示
Zoetrope(ゾートロープ)とは、複数の物体を素早く入れ替えることで、
本来生命でないものを1つの生命(zoe)であるかのように
見せる錯視装置である
しかし、私たちは、生命のように絶えず代謝を繰り返し
時間をかけて全く違う物体に変化するものも、
同じように1つの連続した存在だと捉えている
ZOE は 生命も1つの錯視であると捉えるインスタレーションである
生命とは不変な1つの存在なのか、
同時に光る物体は同じ存在なのか、
別の存在であるのかを問いかける
クローンなどの未来的な問題だけでなく、
昨日の自分と今日の自分といった身近なところまで
自分が自分であることを保証するものは何なのかを問いかける作品
コンピュータグラフィックスに使用される数式を遺伝子に見立て、
遺伝的アルゴリズムによって多様なパターンを作り出すことによって、
映像に生命の多様性をインストールする表現を実現した作品。
本作品では、作品自体がシェーダープログラムを記述する仕組みをもつことによって、
グリッド状に大量の映像が描かれる。
各映像の数式は、関数列がランダムに入れ替わることで少しずつ異なる数式が生成される。
それにより生成された映像はそれぞれ個性をもつが、
意図して生成されたものではなく、ランダムもしくは淘汰された結果に過ぎない。
このシステムを用いて、プログラムが作り出す個性と、自分自身が持つ個性、
他者との違いに気付き、個性とは何かを考える試みとして、
パターンを生成するワークショップを行った。
そこで生まれたパターンを用いて、細胞をモチーフに映像の立体を制作した。
人間社会を超えて、あらゆるものがコンピュータ化された未来での、
情報量だけに支配された自然とは何か、美しさとは何か、を問うと共に、
人の手によって制御されるプログラムを離れ、数式を遺伝子にもつ映像によって、
種の多様性そのものを映像美として見ることを試みた。